「Masterpiece」は、流氷硝子館の歩みの中で象徴的な存在となる作品群です。素材選びから制作まで、挑戦を重ねて生まれた特別なガラス作品を指します。
その始まりは、地域の未利用資源を活かした制作でした。廃蛍光灯のリサイクルガラスを再利用した「エコピリカ」はその原点。以降、素材や色、質感へのこだわりと試行錯誤から新たな作品が誕生してきました。
Masterpieceは偶然ではなく、継続的な実験とチャレンジの末に形となるものであり、流氷硝子館の核ともいえる存在です。美しさや価値を長く感じてもらえる作品を作り続けることが、このシリーズの使命です。
エコピリカ
廃蛍光灯のリサイクルガラスを再利用した、流氷硝子館の象徴的な素材。限られた資源であることを理解したうえで、持続的に活用できるよう回収・再生を行っています。着色をしないシリーズをふんだんに展開し、再利用可能な状態を保つことを重視しています。
北海道内外のガラス工房でも利用が広がっており、使用後の回収・再利用を通じて廃棄物削減と資源循環を促進しています。名前は「エコロジー」とアイヌ語で「美しい」を意味する「ピリカ」を組み合わせたもので、環境と美しさの両立を象徴しています。

幻氷(げんぴょう)
流氷硝子館の象徴的な作品のひとつです。「幻氷(げんぴょう)」の名称は、春先に流氷が去った後に現れる蜃気楼のような光景に由来します。さらに、オホーツク沿岸で大量に廃棄されていたホタテ貝殻を粉末化し、ガラス表面に焼き付けることで、流氷のひび割れ模様を表現しました。
一つひとつ手作業で磨きや削りを施すため、同じものは存在せず、光に透けたときの表情は海を埋め尽くす流氷そのもの。環境変化により減少しつつある流氷の景色が、これからも見られるようにとの願いを込めました。

バッテリーブラウン
乾電池のリサイクルで回収される亜鉛滓(あえんさい)を使用し、試行錯誤を重ねて理想の色を実現しました。オホーツクの肥沃な大地や農作物を思わせる茶色を表現しています。使用済み乾電池も、廃蛍光灯リサイクルガラス「エコピリカ」と同様、野村興産株式会社イトムカ鉱業所から供給されています。
一時は原料に含まれる成分の一部による溶解炉のトラブルで製造を休止していましたが、安定生産が可能となり復活。リサイクルを象徴する色として流氷硝子「凍れ」と並びブランドを代表しています。名称は電池から着想を得て「バッテリーブラウン」と名付けました。

リンネ
製作過程で生じたガラス破材を再溶解し、新たな作品として蘇らせるシリーズです。名称は“輪廻転生”に由来し、循環型社会を目指す理念を象徴しています。元の色や形にとらわれず、さまざまな破材を組み合わせて再生させることで、化学反応によって偶然生まれる色合いが特徴です。素材を無駄にせず、新たな命を吹き込む挑戦から生まれました。
色の揺らぎを際立たせるためデザインは極力シンプルにし、制作可能な数量はごく少数。ナンバーが付与された限定作品であり、同じ色に出会うことのない一期一会をお楽しみください。

川湯温泉ユノハナガラス
川湯温泉の湯の花を活用した、弟子屈町とのコラボレーションシリーズです。温泉成分として全国の温泉地で見られる湯の花は、大量に発生し処理が難しい産業廃棄物とされています。川湯温泉は、日本でも数少ない強酸性硫化水素を含む明ばん・緑ばん泉。この湯の花に含まれる鉱物を活用して琥珀色のガラスが生まれ、廃蛍光灯リサイクルガラス原料「エコピリカ」と共に地域資源を有効活用した製品です。
弟子屈町の一般社団法人TESHI-COLORとの協力により、川湯温泉と流氷硝子館でそれぞれ違う製品を販売。温泉街との協力による地域間連携の象徴でもあります。



